レトロとは、懐かしさを感じさせる、過去の時代や様式を好む趣味や思想を指す言葉です。
建築の分野では、特に近代建築を指して「レトロな建物」と表現されることが多いです。
これは、産業革命以降に登場した近代的な建築様式に対して、時代を遡る懐かしい印象を与えるという意味合いが含まれています。

特徴
　・近代建築様式の特徴
　　「レトロ」という言葉は、一般的に1920年代を中心とする近代建築様式を指します。
　　特に産業革命後に登場した、鉄やガラス、鉄筋コンクリートなどの新しい材料を使用した建物が多く見られます。
　　これらの建物は、工業化や近代化の象徴として、現代の建築スタイルに多大な影響を与えました。

　・建築材料と技術の革新
　　近代建築は、鉄骨やガラス、鉄筋コンクリートなど、新しい材料や建設技術を採用することで、
　　その後の建築様式に革命をもたらしました。
　　この時期に開発された技術は、建物の構造だけでなく、デザインにも大きな影響を与えています。

　・日本における近代建築の「西洋化」　　
　　日本における近代建築は、西洋の近代化を模倣した形で進展しました。
　　そのため、日本で「近代建築」というと、西洋化された建物を指すことが多いです。
　　このような建物は、西洋の権威や伝統を取り入れたデザインが特徴です。

　・モダニズム建築との関係
　　日本語で「近代建築」という場合、それは必ずしも国際的な「近代建築」と一致しません。
　　モダニズム建築と呼ばれることも多く、西洋の影響を受けながらも、独自のデザインや技法が取り入れられています。
　　モダニズムは、特に機能性やシンプルさを重視した建築スタイルとして認識されています。

現場監督として重要なポイント
　・レトロ建築の保存と改修
　　近代建築が「レトロ」として価値を持つ背景には、歴史的な価値があることが挙げられます。
　　現場監督として、古い建物の保存や改修作業を行う場合、その建築様式を理解し、
　　適切な修復方法を選択することが重要です。
　　特に、レトロな建物には、当時の工法や素材が使われているため、元の風合いを損なわないような作業が求められます。

　・レトロ建築の特徴的なデザインの理解
　　レトロな建物の多くは、鉄骨やガラス、鉄筋コンクリートなどの新しい材料を多用しており、
　　特に外観や内部のデザインにおいて、直線的な美しさや機能美が表れています。
　　現場監督は、このような特徴を理解し、適切な保守作業やリノベーションを行う必要があります。

　・西洋化された建築の取り扱い
　　日本の近代建築は、西洋化を進めた結果、多くの歴史的価値を持っています。
　　現場監督としては、西洋の伝統や影響を受けたデザインを守りながら作業を行うことが求められます。
　　例えば、建材や構造の選定において、西洋の影響を反映した素材やデザインが用いられていることが多いため、
　　その取り扱いに注意が必要です。

　・レトロ建築とモダニズムの違い
　　レトロな建物とモダニズム建築は、しばしば混同されることがありますが、モダニズム建築は機能性を重視し、
　　装飾を排除する傾向があります。現場監督は、これらの違いを理解し、
　　モダニズムの特徴を持つ建物とレトロな建物を区別して適切な管理を行うことが大切です。

関連用語
　・近代建築：
　　産業革命以降に登場した新しい建築様式。
　　鉄骨やガラス、鉄筋コンクリートなどを用いた建物。

　・モダニズム建築：
　　20世紀初頭の西洋で発展した建築様式。
　　機能性とシンプルさを重視し、装飾を排除したデザイン。

　・鉄筋コンクリート：
　　鉄筋をコンクリートで覆った材料。
　　強度が高く、近代建築に広く使用された。
　
　・西洋化：
　　日本の建築や文化が西洋の影響を受け、近代化していった過程。

現場管理における重要性
　レトロ建築を扱う現場監督にとって、歴史的価値のある建物の保存と改修作業は非常に重要です。
　特に、レトロな建物は、単なる古い建物ではなく、文化的・歴史的背景を持つ資産です。
　そのため、適切な修復技術や材料選定が必要となり、建物の魅力を損なわないよう細心の注意を払うことが求められます。
　また、現場で使用する材料や工法についても、レトロな建物に適したものを選ぶことが、長期的な保守管理において非常に重要です。