ライフサイクルとは、物事が生まれてから終了するまでの一連のプロセスを指します。
建設分野においては、建物やインフラがその企画、設計、施工、運用、保全、
そして最終的には取り壊しに至るまでの過程を含みます。
つまり、建物が建設から解体に至るまでの「生涯」を表す言葉です。

ライフサイクルの考え方は、単に建物に限らず、人間の生涯や家族の成長にまで広がります。
住居のニーズは時と共に変化し、それに応じて必要なシステムや機能も変化します。
そのため、ライフサイクルを意識した計画が、時間の経過に応じた適切な選択を可能にします。

特徴
　・一貫したプロセス管理
　　ライフサイクルは、企画から解体までの一貫したプロセスを意味します。
　　建物がどのように設計され、施工され、運用され、最終的に取り壊されるのかという全体像を把握することができます。
　　これにより、建物が長期にわたり効果的に使用されることを確保できます。

　・適応力と柔軟性
　　ライフサイクルの考え方は、建物や施設の「成長」や「変化」に対応するために柔軟性を持つ必要があります。
　　時代の変化や住民のニーズの変化に応じて、適切なリノベーションや設備更新が求められるため、
　　ライフサイクル全体を見据えた計画が重要です。

　・コスト管理
　　ライフサイクル管理は、長期的なコストの最適化にも貢献します。
　　運用段階でのメンテナンスや修繕のコスト、さらに将来的な取り壊し費用まで見据えた予算管理を行うことで、
　　総合的なコスト削減が可能となります。

　・環境への影響
　　建物のライフサイクル全体において、環境負荷の低減も重要な要素です。
　　リサイクル可能な素材の使用やエネルギー効率の高い設計、長寿命化を図ることは、持続可能な社会の構築に貢献します。

現場監督として重要なポイント
　・ライフサイクル全体の計画
　　現場監督は、建物のライフサイクル全体を考慮し、
　　設計段階から運用、解体に至るまでの長期的な視点での計画を立てることが求められます。
　　特に、将来的な維持管理やリノベーションを見据えた設計や施工が必要です。

　・耐用年数の把握
　　施設や設備の耐用年数を考慮し、適切な時期にリニューアルやメンテナンスを行うことが現場監督の役割です。
　　これにより、建物の機能を長期間にわたって保持することができます。

　・コストの予算管理
　　ライフサイクル全体にかかるコストの管理は、建設現場だけでなく、建物の運用や保全にも関連しています。
　　ライフサイクルコスト（LCC）を意識した予算編成と、施工後の維持管理計画を立てることが現場監督に求められます。

　・環境への配慮
　　持続可能な建設を実現するために、ライフサイクル全体での環境負荷を減らす取り組みが必要です。
　　リサイクル素材の使用やエネルギー効率の良い設計が、長期的な省エネにも繋がります。

関連用語
　・ライフサイクルコスト（LCC）:
　　建物や設備がその寿命を通じてかかる全てのコスト（設計、建設、運用、メンテナンス、解体など）の合計。

　・耐用年数:
　　設備や建物が効果的に使用可能な期間。

　・維持管理:
　　運用段階での設備や建物の保守管理。

　・リノベーション:
　　古くなった建物の改修や更新を行い、再利用すること。

現場管理における重要性
　現場監督にとって、ライフサイクルの理解は長期的な建物の運用管理において非常に重要です。
　建物の性能や耐久性を長期間にわたって維持するためには、
　設計段階から運用段階、そして最終的な解体まで見据えた計画を立てることが必要です。
　適切なライフサイクル管理を行うことで、建物が老朽化してもその性能を維持でき、また将来的なコスト削減にも繋がります。